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LLMOツールの計測対象AIはどう選ぶ?顧客の用途・計測条件・運用予算を整理する5ステップ

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LLMOツールで計測するAIは、対応数の多さだけで選ばず、顧客が情報を探す場面、ツールで取得できる条件、回答を確認する体制から決めます。継続して追う対象と試験的に調べる対象を分け、採用理由を台帳へ残すと、必要な観測を続けやすくなります。

「主要なAIを全部登録したが、数字を見て何を決めるか分からない」という状態を避けるには、計測対象の設計が必要です。本記事では、LLMOツール・AIOツールの導入担当者が使える選定表、作業量の見積もり、合算値の注意点を整理します。以下の優先度や架空のA・Bという対象は、製品の優劣や市場シェアを表すものではありません。

対応しているAIと、自社が計測すべきAIは別に考える

対応AIの一覧は、ツールで利用できる範囲を確認するための情報です。その一覧だけでは、自社の見込み客が何を使い、どの質問に困っているかまでは分かりません。登録できるから全部を同じ頻度で計測する、と決める前に、結果を使う業務を具体化します。

例えば、国内の法人担当者に比較検討されるサービスと、旅行中の利用者が近くの店舗を探すサービスでは、確認したい場面が異なります。「日本語で自社を挙げるか」という共通の質問だけでは、地域、用途、検討段階の違いを扱いきれません。対象顧客の判断を一つずつ書き出すところから始めます。

全体の普及率が高いとされるAIでも、自社の顧客にとって最優先とは限りません。逆に、現在の流入が少ないサービスを対象外とするのも早計です。回答を見てもクリックしない利用や、参照元が十分に把握できない訪問があるため、アクセス解析だけで利用場面の全体を断定しないようにします。

選定の目的は、すべてのAIの勝敗表を作ることではありません。「導入条件が正しく伝わるか」「比較の候補に含まれるか」「根拠となるページが届いているか」など、自社が次に改善する情報を決められる観測へ絞ることです。

サービス名・検索機能・モデル名を一つのラベルにしない

計測台帳では、利用者が触れるサービス、その中の機能や画面、確認できるモデル情報を分けます。同じサービス名でも、検索を使う回答と使わない回答、会話の途中と最初の質問では、観測条件が異なる場合があります。サービス名だけが一致していても、同じ条件とは限りません。

たとえばGoogleのAI OverviewsとAI Modeは、どちらもGoogle検索の生成AI機能として案内されていますが、台帳では別の対象として識別します。どの機能を観測したかが消えると、変化が一方だけに起きたときに調査しにくくなるためです。対象機能の基本事項はGoogle Search Centralの公式ガイドで確認できます。

モデル名を取得できないツールでは、不明のまま記録します。回答の雰囲気や時期からモデルを推測して補うと、後でその推測を前提に比較してしまいます。「取得できるモデル名」「サービスが公開している一般情報」「確認できない内部条件」を混ぜないことが大切です。

通常のサービス画面での確認と、ツールの自動計測も分けて扱います。差が出た場合は直ちにツールが間違っていると決めず、質問文、検索の利用、地域、時刻、会話履歴など確認できる条件を照合します。完全に一致させられない場合は、その制約を観測記録に残します。

計測するAIを選ぶ5ステップ

計測するAIを選ぶ5ステップ。顧客の用途を整理、計測条件を確認、継続観測群を決定、工数と枠を見積もる、試行して固定する。

図:対象AIの採用理由と条件を残し、構成を変えた際は合算値の比較条件も確認します。

1. 顧客の用途と判断場面を整理する

対象顧客が何を知り、何を決める場面を観測するのかを書きます。営業や問い合わせで確認した用途と、これから検証する仮説を分け、優先する質問群を決めます。

「LLMOツールを知りたい」だけでなく、「既存のSEO業務と並行して自社の露出を確認したい」のように業務の場面まで落とします。顧客への聞き取りで特定のAI利用が挙がっても、それは確認できた顧客の事例です。全顧客の利用率に一般化せず、選定理由の一つとして残します。

2. ツールで取得できる計測条件を確認する

候補ごとに、対象サービスと機能、言語・地域、検索利用、回答と出典の保存範囲、計測失敗時の扱いを確認します。分からない条件は確認先とともに保留欄へ記録します。

比較表のチェックマークだけで判断せず、実際の試行結果を一件開き、どこまで確認できるか見ます。回答の全文は残るが出典URLが出力できない場合と、両方を保存できる場合では、引用元を調べる担当者の作業が変わります。使いたい分析から必要な記録を逆算します。

3. 継続観測する対象と探索する対象を分ける

毎回同じ条件で追う対象を継続観測群にし、新しく試す対象は探索群へ分けます。各対象の採用理由、質問群、集計への含め方を決め、一覧に版と適用日を付けます。

継続観測群は、過去との比較に使う基準です。探索群では、別の用途や新しいサービスの回答を調べます。探索で得た結果を参考として報告することはできますが、初めから継続観測群の推移へ混ぜないようにします。探索を続ける理由がなくなった対象も、履歴を残して整理します。

4. 計測枠と確認作業を見積もる

質問数、対象AI数、繰り返し回数、実行頻度から予定する観測量を整理します。製品ごとの消費枠や契約条件とは分けて計算し、回答確認と改善作業を担当できるか確かめます。

計測できる数が増えても、確認担当が増えるわけではありません。すべての回答を毎日精読するのか、変化した質問を中心に確認するのかを決めます。ただし、目立つ結果だけを拾って全体の成果としないよう、抽出条件と全体件数を残します。

5. 試行結果を確認して対象を固定する

候補のAIで代表的な質問を試し、結果を保存・説明できるかを確認します。採用・保留・対象外の理由を記録し、継続計測の開始日と次の見直し条件を決めます。

試行で自社がよく出た対象だけを採用すると、観測結果が都合のよい範囲へ偏ります。自社が出にくくても、顧客の重要な場面であれば観測を続ける理由があります。採用条件は結果を見る前に決め、変更が必要になった場合も理由を台帳へ残します。

そのまま使える計測対象の選定表

次の表は、導入会議で確認する項目の例です。点数を埋めることより、誰が何を根拠に判断したか分かる状態を目指します。利用状況が未確認なら、最初から高・中・低のいずれかへ押し込めず、仮説として扱います。

項目

記録する内容

判断の使い方

対象の識別

サービス名、機能名、確認可能なモデル情報

異なる画面や機能を混同しない

顧客の用途

顧客が調べる課題と検討段階

計測する業務上の理由を説明する

選定根拠

聞き取り、問い合わせ、既存の流入、検証仮説

確認済みと仮説を分ける

対象質問

固定した質問群と除外する用途

対象の広げすぎを防ぐ

実行条件

言語、地域、検索利用、実行頻度

再観測時に条件を照合する

保存できる情報

回答、出典、日時、成功・失敗の記録

再確認に使えるか判断する

運用条件

計測枠、担当、確認時間

続けられる範囲を決める

採否と履歴

採用・探索・保留、理由、適用日

後から条件を説明できるようにする

社内の共有表には個別顧客の秘密情報を載せず、必要な用途の要約を残します。例えば「案件名と担当者名」を並べる代わりに、「国内の中規模企業から、導入条件の確認で利用例を聞いた」と記録できます。具体性を保つことと、不要な情報を広げないことは両立できます。

表の保留欄には「調査中」だけでなく、確認先と次の判断を書きます。「出典の保存範囲を試用画面で確認する」「対象地域の設定可否を公式説明で確認する」なら、未解決の論点が作業になります。担当が替わっても同じ調査を最初から繰り返す必要が減ります。

架空例:対象を増やす前に作業量を計算する

ここでは製品の課金単位ではなく、質問をAIへ一回実行することを一回の観測として計算します。質問12件、対象AI3種類、各5回の繰り返しなら、予定観測量は12×3×5=180回です。同じ条件で毎日7日間実施する計画なら、合計1,260回になります。

対象を3種類から6種類へ増やすと、一日分は360回です。質問数も同時に倍へ増やすと720回になります。対象を一つ増やす判断は、単に設定欄を一つ埋めることではなく、保存される回答と確認候補を増やす判断でもあります。

架空の計画

質問数

AI数

繰り返し

一日あたり予定観測量

基本案

12

3

5

180回

対象AIを拡張

12

6

5

360回

質問も拡張

24

6

5

720回

実際のツールでは、AIの種類や処理内容で消費枠が異なる場合があります。この表の回数を、そのままクレジット数や請求額に置き換えることはできません。契約の上限、再試行の扱い、手動計測の枠など、製品の現在の条件を別に確認します。

LLMOチェキの公開ページでも、プランによる対応AIの範囲や、計測対象によって枠の消費が異なることが案内されています。選定表を持って公式のサービス・料金説明を確認すると、対応数と実際に使える条件を分けて検討できます。

担当者の作業時間は、予定観測数へ一律の秒数を掛けて決めるより、試行時に記録すると現実的です。回答の保存、問題箇所の確認、事実の照合、編集への引き継ぎは別の作業です。回答を読む時間だけを見積もると、その後の改善が滞ることがあります。

対象AIの構成を変えると、合算値も変わる

AIごとの割合が変わっていなくても、観測回数の配分を変えると全体の値が動くことがあります。次は、自社の言及割合をAで30%、Bで5%とした架空の計算例です。異なる実在AIの性能を比較するものではありません。

期間の設定

Aの言及数/成功数

Bの言及数/成功数

合算した言及割合

前の配分

30/100

5/100

35/200=17.5%

Aを多く観測

270/900

5/100

275/1,000=27.5%

この例では、Aは30%、Bは5%のままです。全体が17.5%から27.5%へ上がったのは、自社が出やすいAの観測を多くしたためです。単純に「改善施策で10ポイント伸びた」と説明すると、観測設計の変更を成果と取り違えます。

継続報告ではAI別の値を残し、合算値には対象の構成と件数を添えます。必要なら、固定した重みで作る補助指標を別に設けられますが、その重みを顧客の実際の利用割合と見せないようにします。上の例を各50%で重み付けすれば両期間とも17.5%ですが、これは分析者が決めた比較方法です。

いずれかのAIで有効な結果がない場合、固定重みの指標をどう扱うかも事前に決めます。残ったAIだけで重みを振り直すと、比較条件が変わります。算出不能にする、参考値として別表示するなど、欠測とゼロの違いを保つ運用が必要です。

計測条件を説明できない対象は、まず保留する

少人数のチームでは、対象を選ぶ会議で確認担当まで決めると実行につながります。例えば「比較検討の質問はマーケティング担当が回答と出典を確認し、提供条件の相違があれば製品担当へ渡す」という形です。役割が決まらない対象は、登録だけ先に進めるより、探索枠で扱う期間と見直し条件を決める方が管理しやすくなります。

対象の重要性と確認の頻度も分けて考えます。重要な質問でも、毎回すべてを読み直す必要があるかは業務次第です。変化を検知した回答と、変化がない回答の確認範囲を先に決め、同じルールで続けます。対象を絞る判断と、確認対象の抽出は別の変更として台帳へ残せば、数字の推移と担当者の作業記録を照合できます。

対象顧客に重要と思われても、観測条件を十分に確認できないことがあります。その場合は、参考観測として残すか、比較用の集計へ入れる前に確認します。分からない条件があること自体より、分からないまま精密な比較値として報告することが問題です。

検索利用の条件は、とくに引用を確認する際に重要です。LLMOチェキの計測方法では、定期計測とオンデマンド計測で検索を実行する条件が異なると説明されています。対象AIだけでなく計測方式も台帳へ残し、言及の推移と引用元の観測を同じ条件だと思い込まないようにします。

回答が保存できない場合は、後から第三者が判断を追えるか考えます。数値だけを出力する運用と、問題の回答を編集担当へ渡す運用では必要な情報が違います。利用する製品にない機能を台帳の記載だけで補ったことにせず、手動の記録を加えた場合はその範囲を明記します。

一度の取得失敗で直ちに候補を除外する必要はありませんが、失敗した期間と再確認の結果は残します。改善の余地を調べる対象なのか、安定して継続観測できる対象なのかという二つの判断を、同じ採用欄だけで済ませないようにします。

対象を見直すタイミングと、変えない条件

見直しのきっかけは、自社の対象顧客や用途の変化、サービスの提供条件の変化、計測ツールで取得できる情報の変化などです。新しいAIが話題になったことは探索の理由にはなりますが、それだけで継続観測群を全面的に置き換える必要はありません。

逆に、自社が出ない状態が続いたという理由だけで対象から外すと、課題そのものを消してしまいます。顧客の用途に合っているか、質問の条件は妥当か、回答を取得できているかを先に確認します。対象外へ移す場合は、数値以外の理由を説明できるようにします。

変更前の台帳は保存し、新しい対象群には適用日を付けます。旧対象の系列を残したまま新対象を追加する、一定期間だけ両方を確認するなど、過去とのつながりを説明できる方法を選びます。利用できる計測枠や担当時間を確認し、無理に併走を前提としないことも大切です。

選定後の会議では、「何種類を計測しているか」だけでなく、「どの顧客の判断を確かめる対象か」を一行で説明します。質問自体を設計する際は、LLMOで狙うクエリと検索意図の整理も参照できます。対象AIと質問の両方が目的につながると、増減の判断に一貫性が生まれます。

よくある質問

LLMOツールでは対応するAIを全部計測した方がよいですか?
一律にすべてを同じ頻度で計測する必要はありません。顧客の用途、取得できる条件、確認体制を基準に継続観測群を決め、新しい対象は探索群で調べる方法があります。
AIからの流入が少ないサービスは計測対象から外せますか?
流入だけでは回答を見た利用者やクリックしなかった利用を把握できません。顧客の利用場面、質問の重要性、計測結果を何に使うかも確認して判断します。
対象AIを増やした前後で全体の言及率を比較できますか?
対象構成や観測量が変わると合算値も動くことがあります。AI別の系列、分子・分母、適用日を残し、条件が変わった合算値だけで改善効果を断定しないようにします。

編集責任者:武藤 尭行(株式会社Itera 代表取締役)| この記事は制作方針に沿って作成し、出典を確認したうえで公開しています。