【独自調査】住まい探しの生成AI利用は23%、今後の利用意向は76%|不動産LLMOが必要な理由
住まい探しで「生成AIに質問した」人は23.47%、「Google検索上部のAI要約(AI Overview)を見た」人は24.26%でした。現在の利用は4人に1人程度にとどまります。しかし「今後、住まい探しで生成AIを使いたいか」を聞くと、75.93%が利用意向を示しました。
株式会社Iteraは2026年8月27日から30日にかけて、住まい探しを行った507名を対象に情報収集の実態を調査しました。現在の利用率と今後の利用意向に3倍以上の開きがあり、不動産業界のAI検索対応は「今はまだ、しかし急速に」という局面にあることが明らかになりました。
本記事では調査結果の全データを公開し、不動産会社が今から取るべき対応を解説します。
1. 不動産LLMOとは
不動産LLMOとは、ChatGPT・Gemini・Google AI Overviewなどの生成AIが住まい探しの質問に答えるとき、自社が候補として登場し、正確に語られるようにする取り組みです。
LLMOはLarge Language Model Optimization(大規模言語モデル最適化)の略で、AIO・GEOとも呼ばれます。
不動産領域でこの対策が注目される理由は2つあります。
理由1:検討期間が長く、情報収集の量が多い
住まい探しは高額で失敗のコストが大きく、比較検討が数か月に及びます。「相場は」「このエリアはどうか」「初期費用はいくらか」といった学習型の検索が大量に発生するため、AIが要約で答える機会が多くなります。
当社の別調査(30ジャンル897クエリ)では、不動産ジャンルのAI Overview出現率は96.6%と、30ジャンル中2位の高さでした。
理由2:ポータル依存の構造がある
不動産業界は、SUUMO・HOME'S・アットホームといったポータルサイトへの依存度が高く、掲載料が固定費になっています。AI経由の指名流入は、掲載料も送客手数料も介さない新しい導線になり得ます。
概念の詳細はLLMOとはをご覧ください。
2. 調査の概要
項目 | 内容 |
|---|---|
調査名 | 住まい探しの情報収集に関するアンケート |
調査主体 | |
調査方法 | インターネットリサーチ |
調査期間 | 2026年8月27日〜8月30日 |
調査対象 | 住まい探し(賃貸・購入)の経験者 |
サンプル数 | 507名 |
回答者の属性
住まい探しの時期(n=507)
回答 | 割合 |
|---|---|
現在進行している | 48.32% |
1年以内 | 20.12% |
1年以上前 | 31.36% |
約7割(68.44%)が、現在または1年以内に住まい探しを行っています。直近の行動を反映したデータです。
探した住まいの種類(n=507)
回答 | 割合 |
|---|---|
賃貸(マンション・アパート) | 36.09% |
購入(戸建・注文住宅) | 31.36% |
購入(マンション) | 27.22% |
その他 | 5.33% |
賃貸と購入がほぼ半々の構成です。購入層(58.58%)が過半を占めており、高額な意思決定における情報収集の実態が反映されています。
3. 【結果1】住まい探しの情報源|ポータルが最大、AIは4人に1人
利用した情報源(n=507・複数回答)

読み取れる3つの事実
事実1:不動産ポータルが依然として最大の情報源
55.23%と過半を超えており、住まい探しの中心にあることは変わりません。AI検索がポータルを置き換えたという状況ではありません。
事実2:生成AIはSNSを上回っている
生成AIへの質問(23.47%)は、Instagram・TikTok・YouTube等のSNS(13.21%)を10ポイント以上上回りました。不動産業界でSNS活用が盛んに議論される一方、実際の情報収集手段としては生成AIのほうが多く使われています。
事実3:AI経由の接触は4人に1人程度
生成AIへの質問(23.47%)とAI Overviewの閲覧(24.26%)は、いずれも4分の1程度の水準です。チラシ(12.03%)の2倍近くありますが、ポータルには及びません。
現時点では、AIは「主要な情報源の一つ」として定着した段階と評価できます。
4. 【結果2】AIで調べているのは「エリアの住みやすさ」が最多
生成AIに聞いた内容(n=245・複数回答)

この結果が示す、不動産LLMOの主戦場
「物件」ではなく「エリア」が1位という点が重要です。
具体的な物件の比較・評価は20.05%と最下位でした。物件そのものの検索はポータルで行い、その周辺の判断材料をAIに聞いているという構図が読み取れます。
つまり不動産LLMOで対策すべきは、物件情報ではありません。

「おすすめの不動産会社・サービス」が30.87%ある点にも注目してください。3割の人が、AIに会社選びを相談しています。ここで候補に挙がるかどうかが、不動産LLMOの直接的な成果になります。
5. 【結果3】今後の利用意向は76%|現在の3倍以上
今後、住まい探しで生成AIを使いたいか(n=507)

「ぜひ使いたい」と「機会があれば使いたい」を合わせると75.93%。
現在の利用率(生成AI 23.47%)と比べて、3倍以上の開きがあります。
この数字が意味すること
利用意向が実際の利用に近づいていく過程で、情報収集の構造は大きく変わります。
現在、AIを使っていない人の多くは「使いたくない」のではなく、「まだ使っていない」だけです。実際、明確な忌避層(あまり使いたくない15.78%+使いたくない8.28%)は合計24.06%にとどまります。
不動産業界のAI検索対応は、「今すぐ必要」ではなく「近いうちに必要」な局面にあると言えます。ただし、対策の効果が現れるまでには時間がかかるため、利用が本格化してから着手すると出遅れます。
当社観測では、AI検索対策の改善傾向が確認できるまでに約3か月、投資判断に足る評価には約6か月が目安です。
6. 【結果4】ポータルへの不満が、AI移行の動機になる
不動産ポータルサイトへの不満(n=507・複数回答)

「不満はない」は13.81%にとどまり、86%以上が何らかの不満を抱えています。
不満の内容が、AIの得意領域と重なっている
ここが重要な点です。挙げられた不満の多くは、AIが解決できる性質のものです。

とくに「営業電話が多い」(28.01%)は、AI利用の直接的な動機になり得ます。電話番号を渡さずに相場と候補を得られるなら、そちらを選ぶのが合理的だからです。
これは他業界でも観測される構造です。当社が別途実施した調査では、転職活動者の26.02%が生成AIで企業情報を収集しており、その背景にも一括見積もりや媒体経由の営業接触を避けたいという心理があると考えられます。
7. 【結果5】信頼度はまだポータル優位|だからこそ今が準備期
住まいの情報として、どちらをより信頼するか(n=507)

信頼度では、ポータル(49.70%)がAI(9.86%)を大きく上回ります。
この結果の正しい読み方
一見すると「AIはまだ信頼されていない」という結論になりますが、注目すべきは「どちらも同程度」が29.78%ある点です。
AIを明確に信頼していない層(ポータルを信頼49.70%+どちらも信頼しない11.64%)は61.34%。一方、AIを同等以上に評価している層(AIの回答9.86%+どちらも同程度29.78%)は39.64%にのぼります。
新しい情報源としては、既に4割から一定の信頼を得ていると読むこともできます。
準備期としての意味
現在の構図は、不動産会社にとって次のように整理できます。
AIの利用率は約24%、信頼度は約10%:まだ主戦場ではない
今後の利用意向は76%:近いうちに主戦場になる
対策の効果には3〜6か月かかる:利用が本格化してからでは遅い
つまり今は、競合が動いていないうちに準備できる期間です。当社の別調査で不動産ジャンルのAI Overview出現率が96.6%と高水準である点も踏まえると、着手を先送りする理由は多くありません。
8. 不動産会社が今から取るべき5つの対応
① エリア情報を、地域の実情まで言語化する
調査で最多だった「エリアの治安・住みやすさ」(47.23%)に対応する施策です。
物件情報ではなく、地域の情報を書いてください。
学区、通学路の状況、子育て支援制度
主要駅までの所要時間、混雑状況、終電の時刻
スーパー・病院・公園などの生活利便施設
ハザードマップ上の位置づけ、過去の災害履歴
エリアの雰囲気、住民層、再開発の予定
これは、全国展開のポータルサイトが書けない情報です。地域に根ざした不動産会社の最大の武器になります。
② エリア×間取り別の相場データを公開する
「家賃・価格の相場」(46.09%)への対応です。
自社の成約データから作る相場情報は、他社が再生産できない一次情報になります。
エリア×間取り× 築年数別の家賃・価格帯
成約までの平均期間
時期による変動(繁忙期と閑散期の差)
集計期間と対象件数を必ず明記する
「〇〇駅周辺の1LDKは8〜10万円」ではなく、「2025年度の当社成約実績(n=45件)では、〇〇駅徒歩10分以内の1LDKは月額8.2〜10.5万円」と書いてください。数値には集計対象と期間を添えることが条件です。
③ 契約・費用の知識を、判断基準まで含めて書く
「契約・初期費用・住宅ローンの知識」(40.28%)への対応です。
初期費用の内訳、住宅ローンの選び方、契約時の注意点。これらは検索需要が大きく、AIも回答を求められる領域です。
重要なのは、一般論ではなく判断基準を書くことです。「どんな場合にどちらを選ぶべきか」を条件別に整理したコンテンツは、AIが照合しやすくなります。
④ 自社の対応範囲と強みを、条件で書く
「おすすめの不動産会社・サービス」(30.87%)への対応です。
3割の人がAIに会社選びを相談している以上、候補に挙がるための情報が必要です。
対応エリア(市区町村レベルまで)
得意な物件種別・価格帯
対応可能な条件(ペット可物件、事故物件の取り扱い、法人契約など)
営業時間、内見の対応方法、オンライン相談の可否
「地域密着で親身な対応」といった抽象表現は、AIが照合できません。条件で書いてください。
⑤ AIでの自社の見え方を確認する
まずは現状を知ることです。次の3問をChatGPTやGeminiに投げてください。
1「(市区町村名)は住みやすいですか?治安はどうですか?」
→ 調査1位の質問。自社の情報が引用されているか
2「(エリア)で1LDKの家賃相場はいくらですか?」
→ 調査2位の質問。自社の相場データが使われているか
3「(エリア)でおすすめの不動産会社は?」
→ 自社が候補に挙がるか。挙がらないなら誰が挙がるか質問1と2は、AIが自社サイトを情報源として使っているかを確認するものです。質問3は、推薦の獲得状況を確認します。
回答は日々変わるため、月1回・同じ質問で記録してください。
まとめ:利用率23%、意向76%というギャップをどう読むか
住まい探しにおける生成AIの利用は23.47%、AI Overviewの閲覧は24.26%。現時点でポータルサイト(55.23%)には及びません。信頼度でも、ポータル49.70%に対しAIは9.86%です。
しかし、今後の利用意向は75.93%。現在の3倍以上です。
そして86%以上がポータルサイトに何らかの不満を抱えており、その内容(重複物件、古い情報、営業電話)は、いずれもAIが解決しやすい性質のものでした。
この構図が示すのは、不動産業界のAI検索対応は「今すぐ」ではなく「近いうちに」必要になり、そして準備には時間がかかるということです。
対策の中心は、物件情報ではありません。エリアの住みやすさ(47.23%)、相場(46.09%)、契約・費用の知識(40.28%)。地域に根ざした会社だけが書ける情報が、そのままAIに引用される資産になります。
まずは今日、AIに自社のエリアについて質問してみてください。継続的な計測には、LLMOチェキ(llmocheki.com)で8つのAIエンジンでの自社の言及・引用状況を確認できます。初期費用0円・カード登録不要で試せます。
調査概要
調査名:住まい探しの情報収集に関するアンケート
調査主体:株式会社Itera(LLMOチェキ)
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2026年8月27日〜2026年8月30日
調査対象:住まい探し(賃貸・購入)の経験者
サンプル数:507名
設問の分母:情報源・利用意向・不満・信頼度はn=507/生成AIで調べた内容はn=245
注記:構成比は小数第3位を四捨五入。複数回答の設問は合計が100%を超えます
参考データ:LLMO傾向分析レポート(30ジャンル897クエリ、2026年7月25日〜8月3日計測)。不動産ジャンルのAI Overview出現率96.6%、全30ジャンル平均86.5%
本記事の調査データは、出典として「株式会社Itera調べ」と明記いただければ、引用・転載自由です。
よくある質問
- 調査の対象と分母を教えてください
- 住まい探し(賃貸・購入)の経験者507名を対象に、2026年8月27日〜30日にインターネット調査を実施しました。情報源・利用意向・ポータルへの不満・信頼度の設問はn=507、生成AIで調べた内容の設問はn=245です。複数回答の設問では、合計が100%を超えます。
- 現在の利用率23%は、対策を始める根拠として十分ですか?
- 現在の数字だけを見れば、まだ主戦場ではありません。判断材料になるのは、今後の利用意向が75.93%と現在の3倍以上ある点、そして対策の効果が出るまでに3〜6か月かかる点です。利用が本格化してから着手すると、その期間だけ出遅れます。
- ポータルサイトへの掲載はやめるべきですか?
- やめるべきではありません。調査でもポータルは55.23%と最大の情報源であり、信頼度でも49.70%と最上位です。ポータル掲載を続けながら、並行してAI経由の導線を作るのが現実的な進め方です。AI対策で整備した情報(エリア情報、相場データ)は、自社サイトの資産としても機能します。
- 大手不動産会社と競合して、地域の会社に勝ち目はありますか?
- あります。調査でAI利用の1位が「エリアの治安・住みやすさ」(47.23%)だったことが、その根拠です。全国一律の情報しか持たない大手より、地域の実情を言語化できる会社のほうが照合されやすい構造があります。「(市区町村)で(条件)に対応できる不動産会社」といった質問は、地域の会社のための枠です。
- 何から始めればいいですか?
- 本記事「8. 不動産会社が今から取るべき5つの対応」の⑤、つまり現状確認からです。ChatGPTやGeminiに3つの質問を投げるだけで、5分で現在地が分かります。そのうえで、①エリア情報と②相場データの整備に着手してください。この2つが、調査で最も需要が大きかった領域です。
- このデータは引用できますか?
- 引用・転載は自由です。出典として「株式会社Itera調べ」と記載してください。数値を引用される際は、分母(n=507またはn=245)を併記いただけると、正確な理解につながります。