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「マップに相談」(Ask Maps)とは?日本提供開始で店舗・事業者がやるべきこと

約12分で読めます 著者: 武藤 尭行

「マップに相談」(Ask Maps)とは、Google マップに搭載されたGemini連携の会話型AI機能です。「充電できて行列の短いカフェは?」といった複雑な条件を自然な言葉で伝えると、Google マップの情報とクチコミを分析して条件に合う場所を提案します。Googleは2026年8月7日、この機能を日本で提供開始したと発表しました(数週間かけて順次展開)。

これまでキーワードを組み合わせて検索し、複数の候補を自分で見比べていた店舗探しが、条件を伝えて提案を受ける形に変わります。事業者にとっては、AIに選ばれるかどうかという新しい競争軸が加わったことを意味します。

本記事では、公式発表に基づく機能の整理と、店舗・事業者が今から取るべき対応を解説します。

1. 「マップに相談」(Ask Maps)とは|公式情報で見る基本機能

提供開始のタイムライン

時期

内容

2026年3月12日

Googleが「Ask Maps」と「Immersive Navigation」を発表。米国とインドで展開開始

2026年8月6日(現地時間)

150以上の国と地域への拡大、および日本への展開を発表

2026年8月7日

Google Japan Blogが日本での提供開始を発表。数週間かけて順次展開

日本語版の名称は「マップに相談」です。英語版の「Ask Maps」と同じ機能を指します。

どんな質問に答えられるのか

Googleの公式発表では、次のような質問例が挙げられています。

  • 「スマートフォンの充電が切れそう。長い列に並ばずにコーヒーが買えて、充電ができる場所を教えて」

  • 「今夜使える照明付きの公営テニスコートを探して」

  • 「(目的地)に向かっている道中で、おすすめのスポットは?」

いずれも、従来のキーワード検索では答えを得るのが難しかった複合条件の質問です。これまでは何度も検索を繰り返し、多くのクチコミを確認する必要がありました。

回答の根拠になる情報

Googleは、最適な提案のために「5億人以上の投稿者コミュニティからのクチコミと3億以上の場所に関する情報を分析する」と説明しています。

つまり、回答の材料はGoogleマップに蓄積された場所の情報とユーザーのクチコミです。事業者にとって、この2つが対策の主戦場になります。

8月の拡大で追加された機能

パーソナル インテリジェンス(Gmail連携)

Gmailと連携させると、フライトのスケジュールやディナーの予約情報を自動的に考慮した提案が受けられます。「明日のフライトまで、ホテルの近くで数時間過ごすためのアイデアを教えて」といった質問に、予約情報を踏まえて答える形です。今後、Googleカレンダーなど他のアプリへの対応も予定されています。

重要な点として、Gmailとの連携はデフォルトでオフになっており、連携するかどうかはユーザー自身が選択します。

過去の会話の再開

履歴設定がオンの場合、過去の会話を記憶し、中断したところから再開できます。「前に提案してくれたアクティビティを教えて」といった質問が可能になります。

リアルタイム情報

通勤時の交通状況、ルート上の道路工事や事故、店舗やレストランの混雑状況を確認できます。バス・電車・地下鉄など公共交通機関の遅延状況にも対応し、待ち時間を分単位で更新します。


2. 何が変わるのか|「キーワード検索」から「条件相談」へ

検索の形が変わる

従来のGoogleマップでの店舗探しは、次の流れでした。

  1. 「渋谷 カフェ」などキーワードを組み合わせて入力

  2. 表示された複数の候補を自分で見比べる

  3. クチコミを読んで判断する

「マップに相談」では、この流れが変わります。

  1. 条件を自然な言葉で伝える(「静かで作業できて、夜遅くまで開いている店」)

  2. AIが条件に合う候補を提案する

  3. 提案理由とともに受け取る

事業者にとっての意味は明確です。単一キーワードでの競争から、複合条件での照合へと評価の軸が移ります。「カフェ」という枠で戦うのではなく、「静か」「電源あり」「深夜営業」といった条件の組み合わせで選ばれるかどうかが問われます。

クチコミの「内容」が重みを増す

Googleが「5億人以上の投稿者からのクチコミを分析する」と明言している以上、クチコミは回答生成の主要な材料です。

ここで重要なのは、評価の星の数だけでなく、どのような言葉で書かれているかです。「静かで作業がはかどった」「子ども連れでも周りを気にせず過ごせた」といった具体的な描写は、AIが条件と照合する際の手がかりになります。

一方、「おいしかったです」といった短い高評価は、星の数には貢献しても、条件照合の材料としては機能しにくいと考えられます。

AI検索全体の中での位置づけ

「マップに相談」は、AI検索の広がりの一部として捉えるのが適切です。

当社Iteraが実施した30ジャンル897クエリの調査では、日本語検索におけるAI Overviewの平均出現率は86.5%、ゼロクリック率(推定)は59.0%でした。店舗系ジャンルの出現率は次の通りです。

ジャンル

AI Overview出現率

飲食店

76.7%

歯科医院

73.3%

美容室

66.7%

ホテル / 整体・接骨院

83.3%

ジム / 動物病院 / 学習塾

80.0%

全30ジャンル平均

86.5%

店舗系のジャンルは平均より出現率が低い傾向にあります。地図やローカルパックが機能する領域では、AIが要約するより店舗リストを出すほうが有用だからです。

しかし「マップに相談」の登場は、この構造を変える可能性があります。地図の中に会話型AIが入ってきたことで、店舗探しでもAIが提案する経路が生まれたためです。


3. AIが参照する情報源と、事業者が持つ影響力

参照される情報の階層

公式発表から読み取れる、回答の材料は次の通りです。

情報源

事業者のコントロール可能性

Googleビジネスプロフィールの基本情報(営業時間、住所、電話、サービス)

高い(自社で設定)

属性情報(テイクアウト、Wi-Fi、バリアフリー等)

高い(自社で設定)

写真・メニュー情報

高い(自社で登録)

ユーザーのクチコミ本文

中程度(依頼と返信で間接的に)

混雑状況などのリアルタイムデータ

低い(Googleが自動収集)

位置情報・周辺施設との関係

低い(物理的な条件)

事業者が直接手を入れられるのは上位3つです。そして、この3つが未整備の店舗が実際には少なくありません。

Googleビジネスプロフィールの充実が前提条件になる

条件を伴う質問にAIが答えるには、その条件に対応する情報が登録されている必要があります。

「電源が使えるカフェ」という質問に答えるには、属性情報や説明文にその旨が記載されていなければなりません。「子連れでも入りやすい店」という質問には、設備や雰囲気の情報が必要です。

登録されていない条件では、AIは照合できません。これは技術的な限界ではなく、単純に情報が存在しないという問題です。


4. 店舗・事業者がやるべき5つの準備

準備1:Googleビジネスプロフィールの基本情報を最新にする

最も基礎的で、最も見落とされている部分です。

  • [ ] 営業時間が実際と一致している(季節変動・臨時休業を含む)

  • [ ] 電話番号・住所が最新

  • [ ] 定休日が正確に登録されている

  • [ ] 提供サービスが登録されている

営業時間の誤りは、来店してから「営業していない」という事態を招きます。AIが誤った情報を提案する原因にもなるため、優先度は最も高くなります。

準備2:属性情報を可能な限り埋める

「マップに相談」が条件で照合する以上、属性情報の充実がそのまま候補入りの確率を左右します。

業種に応じて、次のような項目を確認してください。

  • 設備:Wi-Fi、電源、駐車場、個室、バリアフリー、キッズスペース

  • サービス:テイクアウト、デリバリー、予約可否、決済方法

  • 雰囲気・利用シーン:業種によって選択できる項目が異なります

未入力の項目は「該当しない」ではなく「不明」として扱われる可能性があります。該当するものは漏れなく登録してください。

準備3:説明文に「利用シーン」を書く

属性の選択肢にない情報は、説明文で補います。ここで有効なのは、機能の羅列ではなくどんな場面で使えるかの記述です。

  • 一般的な書き方:「落ち着いた雰囲気のカフェです」

  • 条件照合に効く書き方:「電源席8席、Wi-Fi完備。平日は個人作業、休日は打ち合わせでの利用が中心です」

条件を含む質問と照合できる粒度で書くことが要点になります。

準備4:クチコミの質を管理する

クチコミが回答の材料である以上、内容の質が重要になります。

依頼の工夫

「よろしければクチコミをお願いします」ではなく、「どんな用途で使われたか書いていただけると、同じ目的の方の参考になります」と伝えることで、具体的な描写を含むクチコミが増える可能性があります。

返信の内容

返信文も公開情報として蓄積されます。「ありがとうございました」で終わらせず、事実を補足する内容にしてください。

  • 一般的な返信:「ご来店ありがとうございました」

  • 情報を補う返信:「ご家族でのご利用ありがとうございました。半個室のお席は3卓ご用意しており、お子様用の食器もございます」

後者は、返信そのものが条件照合の材料になります。

準備5:自社サイトとの情報の一貫性を保つ

Googleビジネスプロフィールと自社サイトで、営業時間や料金が食い違っていないか確認してください。情報が媒体によって違うと、AIが参照先によって異なる回答を返す原因になります。

あわせて、自社サイトにも構造化データ(LocalBusiness系、openingHoursSpecification、FAQPage)を実装しておくと、Googleマップ以外のAI検索での露出にも効きます。


5. 効果測定|現時点での限界と、代替の指標

「マップに相談」専用の指標は提供されていない

事業者にとって重要な制約があります。現時点で、「マップに相談」経由の表示やアクションを分離して測る公式の指標は提供されていません。

どのような質問で自店が提案されたか、何回提案されたか。これらは店舗側からは見えない状態です。

代替となる測定方法

方法1:Googleビジネスプロフィールのインサイトを追う

「マップに相談」経由のアクションも、従来のマップ指標に統合されてカウントされると考えられます。表示回数、ルート検索数、通話数の推移を月次で記録してください。

ただし、この数値だけでは「マップに相談」の影響を分離できません。傾向の把握に留まります。

方法2:自分で質問して確認する

最も直接的な方法です。自店が該当しそうな条件で「マップに相談」に質問し、提案されるかを確認します。

確認の手順
1. 自店の強みを含む質問を5〜10本用意する
   例:「〇〇駅の近くで電源が使えるカフェは?」
2. 月1回、同じ質問を投げて結果を記録する
3. 提案された場合:提案理由がGBPの情報と整合しているか確認
4. 提案されない場合:どの店が提案され、何が根拠になっているかを確認
5. 不足している情報を特定し、GBPを補完する

注意点:AIの回答は毎回同じとは限りません。1回の結果で判断せず、反復して傾向を見てください。

方法3:来店時のヒアリング

「どこで当店を知りましたか」という質問に、「Googleマップで相談したら出てきた」という回答が含まれるかを記録します。定量性には欠けますが、実際の影響を知る手がかりになります。

測定できないからこそ、先に整えておく

効果を直接測れない現状では、施策の優先順位を数値で決めることができません。

その代わりに言えるのは、Googleビジネスプロフィールの充実とクチコミの質の管理は、「マップに相談」の有無にかかわらず有効だということです。従来のMEOでも、他のAI検索でも同じく効きます。測定できないことを理由に手を止めるより、共通して効く土台を固めるのが合理的な判断になります。


6. 「マップに相談」とLLMOの関係

同じ構造の変化が、複数の面で起きている

「マップに相談」の登場は、地図アプリの一機能の話にとどまりません。検索という行為が、キーワード入力から条件相談へ移行しているという、より大きな変化の一部です。

同じ変化は他の面でも進んでいます。

変化

Google検索

AI Overviewが検索結果の最上部に回答を表示

Googleマップ

「マップに相談」が条件相談型の提案を実行

対話型AI

ChatGPT・Geminiなどが直接、店舗やサービスを提案

いずれも、ユーザーが候補を自分で絞り込む工程をAIが代行する構造です。そして、どの面でも共通して評価されるのは、条件と照合できる情報が、正確に、機械が読める形で公開されているかという点です。

対策の土台は共通している

「マップに相談」への対策として挙げた5つの準備は、そのまま他のAI検索への対策にもなります。

  • 基本情報の正確性 → すべての面で誤情報を防ぐ

  • 属性・条件の登録 → 条件照合の材料になる

  • 利用シーンの記述 → 相談型の質問と照合される

  • クチコミの質 → AIが参照する第三者の評価

  • 媒体間の一貫性 → エンティティとして正しく認識される

「マップに相談」だけの特別な施策があるわけではありません。AI検索全般に効く土台を整えることが、結果的に最も効率的な対応になります。

AI検索への対応全般については、LLMO対策の解説記事で詳しく扱っています。


7. よくある質問(FAQ)

Q1. 「マップに相談」はいつから日本で使えますか?

Googleは2026年8月7日に日本での提供開始を発表しました。本日より数週間かけて順次提供を開始するとされており、すべてのユーザーが即座に使えるわけではありません。アプリを最新版に更新し、Googleマップの検索バー付近に該当のアイコンが表示されるかを確認してください。

Q2. 「Ask Maps」と「マップに相談」は違うものですか?

同じ機能です。「Ask Maps」が英語版の名称、「マップに相談」が日本語版の名称です。英語版は2026年3月に米国とインドで公開され、8月に日本を含む地域へ拡大されました。

Q3. 店舗側で何か設定や申請は必要ですか?

「マップに相談」に表示されるための専用の申請や設定は、公表されていません。従来通りGoogleビジネスプロフィールの情報を充実させることが、実質的な準備になります。基本情報の正確性、属性情報の登録、説明文の充実、クチコミの管理が中心です。

Q4. クチコミはどのように影響しますか?

Googleは、5億人以上の投稿者コミュニティからのクチコミを分析して提案を生成すると説明しています。星の数だけでなく、クチコミ本文に書かれた具体的な内容が、条件との照合に使われると考えられます。利用シーンや設備に触れたクチコミが蓄積されている店舗は、条件を含む質問で照合されやすくなる可能性があります。

Q5. 広告を出せば提案されやすくなりますか?

「マップに相談」の提案結果に対する広告の扱いについて、公式には詳細が示されていません。現時点では、提案されるための有料の枠が用意されているという情報は確認できていません。確実に言えるのは、Googleビジネスプロフィールの情報の充実が前提条件になるということです。

Q6. Gmail連携は勝手に有効になりますか?

なりません。Googleの発表では、Gmailとの連携はデフォルトでオフになっており、連携するかどうかはユーザー自身が選択できると明記されています。過去の会話の記憶についても、履歴設定がオンになっている場合の機能とされています。

Q7. 効果はどうやって測ればいいですか?

現時点で「マップに相談」専用の指標は提供されていません。代替として、Googleビジネスプロフィールのインサイト(表示回数・ルート検索・通話)の推移を追う方法、自店に該当する条件で実際に質問して提案されるか確認する方法、来店客へのヒアリングを組み合わせる方法があります。

Q8. 対策の優先順位はどうすべきですか?

まず基本情報の正確性(営業時間・電話・住所)、次に属性情報の登録、その次に説明文とクチコミの質の管理という順序を推奨します。基本情報が誤っていると、それ以降の施策の効果が損なわれるためです。


まとめ

「マップに相談」(Ask Maps)は、Googleマップでの店舗探しを「キーワードで検索して自分で選ぶ」から「条件を伝えて提案を受ける」へと変える機能です。日本では2026年8月7日に提供開始が発表され、順次展開されています。

事業者にとっての対応は、特別なものではありません。Googleビジネスプロフィールの基本情報を正確に保ち、属性情報を埋め、利用シーンを言葉にし、クチコミの質を管理する。この4点が、そのまま「マップに相談」で選ばれるための条件になります。

そして重要なのは、この対策がAI検索全般に共通して効くという点です。Google検索のAI Overview、ChatGPTやGeminiでの店舗探し、そして「マップに相談」。いずれも、条件と照合できる情報が正確に公開されているかを評価します。

まずは自店の情報がどう扱われているかを確認してください。AIに「(地域)で(業種)のおすすめは?」と質問し、自店が候補に挙がるか、情報は正確かを見る。5分で現在地が分かります。

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この記事の著者・出典

※本記事は2026年8月時点の公開情報に基づきます。機能・提供状況は変更される可能性があるため、最新情報はGoogleの公式発表をご確認ください。提案アルゴリズムの詳細は公開されておらず、本記事の対策に関する記述は公式情報と一般的な運用知見に基づく推奨です。