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AIOツールの地域・デバイス別計測|スマホとPCの差を確かめる比較シート

約9分で読めます

「担当者のスマホにはAI Overviewが出ているのに、AIOツールの記録では出ていない」。この違いを調べるときは、どちらが正しいかをすぐに決めるのではなく、検索した条件を照合します。同じ検索語句でも、地域、日時、言語、デバイス、アカウントの状態などが一致しているとは限らないためです。

この記事では、Google検索のAI Overviewを中心に、地域とデバイスを分けた比較表の作り方を説明します。AIOツールという名称でも、検索画面を取得する製品とAIチャットの回答を観測する製品では対象が異なります。まず比較したい画面と、そのツールが実際に取得している面をそろえてください。

地域とデバイスは何を表しているのか

Google検索の公式ヘルプは、検索結果の違いに時間、現在地、言語、デバイスの種類などが関係することを説明しています。パーソナライズを使わない場合でも検索のコンテキストは利用されます。この説明から、ログアウトしただけで全員が同じ結果になるとは考えない方がよいと分かります。

ただし、結果が違った原因を地域や端末だけに断定できるわけではありません。東京のスマホと大阪のPCを別の日に検索して差が出ても、地域、端末、日時のどれが関係したかは分離できません。比較の目的を絞り、変える条件とそろえる条件を先に決める必要があります。

混同しやすいもの

違い

記録する内容

地域指定と地域名入りの検索語句

検索の設定と質問の内容は別

指定地域と実際の語句を両方残す

スマホ表示とモバイル条件の取得

画面の幅だけでは計測条件は分からない

端末条件の設定方法と取得方式

国と言語

国内でも複数の言語条件がある

国・地域と言語を別の列にする

通常検索とAIチャット

観測している回答面が異なる

AI Overview、AIモードなどの対象面

ログアウトと条件の統一

履歴以外の差は残り得る

確認できた条件と不明な条件

「東京の会計ソフト」という語句と「会計ソフト」という語句は別の質問です。東京を設定して同じ質問を検索する比較と、質問そのものへ東京を加える比較を混ぜると、何を検証したかが曖昧になります。前者は地域条件の比較、後者は地域を含む検索意図の比較として分けて設計します。

同様に、パソコンのウィンドウを細くしてスマホ風に表示しても、取得済みの結果を狭く表示しているだけかもしれません。ツールの「モバイル」が何を変更する設定なのか、取得時の条件なのか、閲覧用レイアウトなのかを確認します。機能名だけで実機の体験を再現できると判断しないことが大切です。

地域・デバイス比較を進める5ステップ

地域・デバイス比較の5ステップ。比較目的を決め、条件を分け、取得状況を残し、条件ごとに結果を読み、判断を記録する。

図:条件を混ぜた平均値より先に、同じ条件の回答と取得状況を確認します。

1. 比較目的と必要な地域を決める

調べたい違いを一文で決め、事業上意味のある地域と検索語句を選びます。スマホとPCの差を調べるなら同じ地域内で比較し、地域差を調べるなら同じデバイス条件をそろえます。

全国向けのBtoBサービスであれば、最初から全都道府県を測る必要があるとは限りません。商談や利用者の多い地域、営業上確認が必要な地域から始めます。店舗型の事業では営業範囲と拠点を基準にします。選んだ理由を残すことで、結果のよかった地域だけを後から採用する運用を避けられます。

2. 地域・デバイス・検索条件を分けて固定する

地域とデバイスの組み合わせに条件IDを付け、検索語句、言語、対象面、取得方式、実行時間帯を記録します。利用するツールで指定できない条件は不明または指定不可として残します。

たとえば東京と大阪、スマホとPCなら四つの条件を作ります。検索語句は同じ版を使い、設定画面と実際の記録で地域や端末が確認できるかを照合します。指定したつもりの値と取得結果に残る値が違う場合は、その条件の数値を比較する前に提供元へ仕様を確認します。

3. 取得状況と回答の証拠を条件ごとに残す

各条件で予定した取得回数、正常に取得できた回数、AI Overviewの出現、自社引用、確認できたURLを記録します。取得失敗や画面の一部欠落は、正常に取得した結果での未出現と分けます。

証拠として取得日時、条件ID、結果画面または回答本文を関連付けます。画像を残す場合は、検索語句や対象のAI表示を確認できる範囲を含めます。個人の履歴やアカウント情報など不要な部分は共有範囲から除きます。画像だけに依存せず、引用先URLと取得状態を文字の列にも記録しておくと後で集計できます。

4. 同じ条件の結果を比較し、ばらつきも読む

同じ地域内のデバイス差、同じデバイス内の地域差をそれぞれ比較し、分子と分母を併記します。一度の取得結果だけで恒常的な差と判断せず、取得方式と期間がそろっているかを確認します。

小さな標本では割合が大きく動きます。10回中2回と10回中4回では見た目の割合は20%と40%ですが、それだけで安定した差を示したとはいえません。繰り返し取得しても同じ時間帯や同じ条件へ偏れば、観測範囲は狭いままです。結果は「今回の条件での観測」として示し、利用者全体の体験に広げて説明しないようにします。

5. 判断・未確認事項・次回の確認条件を記録する

比較結果を、対応する、追加確認する、今回は保留する、のいずれかに整理し、判断の根拠を残します。次回も同じ条件で確認するのか、一つの条件だけを変更するのかを決めます。

自社引用が少なかった条件でも、まず実際の回答で何が引用されていたかを読みます。地域に関する説明不足なのか、端末の表示でリンクが見えにくいのか、取得方式の違いなのかで対応は変わります。条件がそろっていなければ、コンテンツの改修より先に比較設計を修正する方が、原因を整理しやすくなります。

比較条件シートの記入例

次の表は、東京と大阪の二地域で同じ検索語句を比較する架空の設計例です。実際にその単位で地域を指定できるかは製品により異なります。利用中のAIOツールに存在しない設定を想定して記入せず、取得可能な粒度に合わせます。

条件ID

指定地域

デバイス条件

検索語句

そろえる項目

T-M

東京

モバイル

同じ語句Q1

日本語・対象面・時間帯

T-P

東京

PC

同じ語句Q1

日本語・対象面・時間帯

O-M

大阪

モバイル

同じ語句Q1

日本語・対象面・時間帯

O-P

大阪

PC

同じ語句Q1

日本語・対象面・時間帯

条件名の下には、ツール名、取得方式、設定の確認日、検索語句の版、時刻の基準を記載します。「日本」とだけ記録される取得方式で、市区町村まで条件がそろったと説明することはできません。実際に指定した粒度と結果に記録された粒度を区別し、地域の詳細が取得できない場合はその制約を報告へ残します。

端末についても「スマホ」とだけ書かず、ツールで指定できる範囲を記録します。実機での確認なら端末とブラウザ、ツールでの取得なら提供元が説明するモバイル条件を残します。両者が同じ環境であると確認できない限り、ツールと実機の結果は補助的な照合として読み、同じ系列へそのまま足さないようにします。

架空データで四つの条件を読んでみる

以下は計算の説明用に作った架空データです。各条件で10回の取得を予定し、正常に取得できた検索結果のうちAI Overviewが出た回数と自社引用があった回数を記録しています。自社引用はAI Overview内の引用だけを数える、という例の定義です。

条件ID

予定

正常取得

AI Overview出現

自社引用あり

T-M

10

10

6

2

T-P

10

10

4

1

O-M

10

8

4

1

O-P

10

10

5

0

東京のモバイル条件T-Mでは、正常取得した検索結果に対する出現率は6÷10=60%、自社引用あり率は2÷10=20%です。一方、「AI Overviewが出た場合に自社が引用された割合」を知りたいなら2÷6=約33.3%になります。20%と33.3%は分母が違うため、どちらも自社引用率という一つの名前で混在させないようにします。

大阪のモバイル条件O-Mでは、正常取得が8回なので出現率は4÷8=50%、自社引用あり率は1÷8=12.5%です。取得できなかった2回を未出現と見なして4÷10とすると、取得の不備まで出現状況へ混ぜることになります。予定10、正常8、取得失敗2という情報を、割合と並べて示してください。

この架空例の四条件を合算すると、正常取得38回、出現19回、自社引用4回です。合算の出現率は19÷38=50%、自社引用あり率は4÷38=約10.5%となります。ただし、これは今回の取得回数に応じた合算値であり、東京と大阪の利用者数やスマホ利用率を反映した市場全体の割合ではありません。

四条件の割合を単純平均する方法と、分子・分母を合算する方法も同じではありません。自社引用あり率を単純平均すると、20%、10%、12.5%、0%の平均で10.625%です。差が小さく見える場合でも、採用した方法を明示します。取得回数が大きく違う条件を混ぜるほど、どの重みで集計したかが判断を左右します。

計測範囲を増やす前に必要な回数を見積もる

地域、端末、語句、繰り返し回数を増やすと、取得する組み合わせも増えます。たとえば2地域×2デバイス×5語句×各10回なら、計画上は200回です。これは比較設計の数え方であり、特定製品のクレジット消費や料金を意味しません。再試行や複数エンジンの扱いを含め、費用は利用する製品の条件で別途確認します。

最初は事業上優先する語句で小さく設計し、条件が正しく記録されるかを確かめます。正常取得がほとんどない条件や、指定できない粒度を含む設計を大規模に回しても、比較可能な情報が増えるとは限りません。観測を増やす前に、何が分かれば意思決定できるのかを明らかにします。

取得頻度と観測期間も分けて考えます。同じ短時間に多数取得する設計と、複数日に分ける設計では、捉える変動が異なります。実施可能な範囲で時間帯や日付を記録し、比較対象の条件を近い時間にそろえます。順番に取得する場合は順序も残しておくと、時間差の影響を疑うときの手掛かりになります。

AIOツールを選ぶ際の確認表

確認項目

提供元へ確認する内容

運用上の扱い

地域の粒度

国・都道府県・都市のどこまで指定できるか

指定可能な粒度だけを比較

端末条件

取得時に何が変わるのか

表示幅の変更と区別

対象の画面

AI OverviewとAIモードを区別できるか

別の観測面は別集計

取得失敗

失敗と未出現を見分けられるか

予定数と成功数を併記

証拠の保管

原文・画像・引用URLを残せるか

条件IDから照合可能にする

設定変更の履歴

地域や端末をいつ変えたか分かるか

変更前後の比較を区切る

LLMOチェキの公式サイトでは地域を指定した計測を案内しています。ただし、地域指定の説明だけを根拠に、すべてのAIで任意の都市と実機端末の組み合わせを再現できると判断してはいけません。必要な観測面、地域の粒度、デバイス条件を提示し、対応範囲を個別に確認するのが確実です。

LLMOツール全体の選定では既存の比較記事を参考にしつつ、この確認表で自社の観測条件を追加してください。対応するAIの数だけでなく、条件が分かること、原文へ戻れること、失敗を区別できることが、地域や端末の差を読み解く際に役立ちます。

結果を施策へつなげるときの注意点

スマホ条件で自社引用が少ないからといって、直ちにスマホ専用の記事を量産する必要はありません。まず引用されたページと回答内容を確認し、自社サイトで不足する情報があるのかを調べます。地域別ページを作る場合も、その地域で提供するサービスや実際の拠点など、固有の情報を説明できるかが先です。

地域名だけを差し替えた似たページを増やすと、利用者が欲しい違いを示せない可能性があります。比較の結果は、ページを増やす命令ではなく、何を追加調査すべきかを決める材料として扱います。回答内で地域の具体情報が求められているなら、既存ページへ営業範囲や対応条件を明確に追記する選択肢もあります。

社内への報告には、比較目的、条件表、分子・分母、代表的な回答、未確認事項、次の対応を一組で載せます。「モバイルが弱い」という見出しだけでは、どの地域のどの検索語句かが伝わりません。「今回の四条件ではこの差を観測した。継続性は次の観測で確認する」と範囲を明確にすると、必要以上の改修を防ぎながら改善の検討を進められます。

一件の食い違いを調べるための照合メモ

担当者の実機とツールの記録が食い違ったら、まず両方の検索語句を文字で照合します。空白の有無、地域名の追加、質問文の続きなどが違っていないかを確認してください。次に取得日時と対象面を比べ、通常検索のAI Overviewと、AIモードや別のAIチャットを比較していないかを確認します。

そのうえで、実機側で確認できる地域表示、言語、アカウントの状態と、ツール側の設定を並べます。分からない項目を推測で埋める必要はありません。「実機の地域表示は確認できたが、ツールの地域粒度は未確認」のように残すと、次に問い合わせる内容が明確になります。

同じ条件で取得し直す場合も、先の結果は消さずに残します。後から同じ表示になったとしても、最初の差がなかったことにはなりません。取得し直した日時と結果を追加し、継続する差なのか一時的な差なのかを検討します。費用がかかる再実行は、予定した回数と担当範囲の中で進めます。

照合メモの項目

書き方の例

観測した違い

実機は出現、ツールは未出現

一致した条件

検索語句・日本語・対象面

異なる条件

取得日時が二時間ずれている

未確認の条件

ツールの都市指定の扱い

次の確認

提供元の仕様を確認後、近い時間で比較

このメモを残すことで、結果の差をすぐに不具合やSEO施策の失敗へ結び付けずに済みます。仕様が異なっていた場合は比較方法を変え、同じ条件でも差が続く場合は証拠とともに提供元へ確認できます。読み手に必要なのは「一致しない」という結論だけではなく、どこまで条件を確かめたかという経過です。

よくある質問

シークレットモードなら地域や端末の条件を統一できますか?
それだけでは統一できません。現在地、言語、デバイス、日時などの違いは残り得ます。確認できる条件を記録し、不明な条件も明示して比較します。
地域名を検索語句に加えるだけで地域別計測になりますか?
地域名を含む検索意図の比較にはなりますが、同じ検索語句を異なる地域条件で取得する比較とは別です。検索語句と指定地域を別の列に記録してください。
スマホとPCの割合は平均してよいですか?
目的と集計方法を明示すれば集計できます。ただし、単純平均、取得数での合算、利用者構成による重み付けは別です。まず条件別の分子・分母を残し、合算値だけで判断しないようにします。

編集責任者:武藤 尭行(株式会社Itera 代表取締役)| この記事は制作方針に沿って作成し、出典を確認したうえで公開しています。