【LLMOニュース】2026年8月第2週|Google大規模変動が継続、ChatGPT Atlas廃止、税理士サイトのAI検索対応率は5.8%
2026年8月第1週から第2週にかけて、AI検索とLLMOをめぐる動きが相次ぎました。最大のトピックは、8月1日から本記事執筆時点まで継続しているGoogle検索の大規模な順位変動です。
あわせて、OpenAIによるブラウザ製品の統合、専門職領域のAI検索対応の遅れを示す調査、Perplexityの成長データなど、市場の変化を示す情報が続いています。本記事では、この期間の主要な動向を整理し、企業が取るべき対応を解説します。
1. Google検索で大規模な順位変動が継続(8月1日〜)
8月1日に始まった変動が、8月5〜6日に再加熱し、10日時点でも高いボラティリティが観測されています。
Googleからの公式発表はないものの、SEOコミュニティでは大規模なアルゴリズム調整が進行中との見方が支配的です。一部のサイトでは、特定キーワードでの順位消失やトラフィックの急落が報告されています。
なぜ重要か
順位変動そのものは定期的に起きる現象ですが、今回注目すべきはAI Overviewsへの影響です。AI Overviewsが引用する情報源は検索上位ページと重なる傾向があるため、順位が大きく動けば、AI回答の引用元ドメインの顔ぶれも変わる可能性があります。
つまり、これまでAIに引用されていた自社ページが引用されなくなる、あるいは逆に競合が新たに引用されるという変化が、水面下で起きている可能性があります。
企業が取るべき対応
順位のモニタリングだけでは、この変化は捉えられません。主要キーワードでのAI Overviews出現率と、回答内での自社の言及・引用状況を並行して確認してください。順位が維持されているのに流入が減っている場合、AI回答内での扱いが変わっている可能性があります。
なお、この変動が正式なコアアップデートとして発表されるかどうかは、今後の公式アナウンスを待つ必要があります。
2. OpenAIが「ChatGPT Atlas」を廃止、AI検索はデスクトップアプリへ統合(8月9日)
スタンドアロンのデスクトップブラウザ「Atlas」の提供が終了し、AI検索機能は新しいデスクトップアプリに統合されます。
あわせて、ChatGPT検索のクロールを担う「OAI-SearchBot」の重要性が改めて注目されています。
なぜ重要か
ユーザーの検索体験がブラウザからアプリ統合型へシフトすることで、検索行動の頻度や深さが変わる可能性があります。専用ブラウザを開く必要がなくなれば、AI検索の利用場面はより日常的になると考えられます。
より実務的に重要なのは、クローラーの扱いです。OAI-SearchBotがブロックされているサイトは、ChatGPTの検索機能で参照されません。robots.txtの設定次第で、AI検索での露出が構造的にゼロになるということです。
企業が取るべき対応
自社サイトのrobots.txtを確認し、OAI-SearchBotやGPTBotといったAIクローラーを意図せずブロックしていないかを点検してください。過去にスクレイピング対策として一括ブロックを設定している場合、AI検索での露出機会を自ら閉ざしている状態になります。
学習用クローラー(GPTBot)と検索用クローラー(OAI-SearchBot)は役割が異なるため、方針を分けて設定することも可能です。自社の判断基準を整理したうえで、設定を見直すことを推奨します。
3. 税理士サイト1,000件、AI検索に対応できているのは5.8%(8月上旬)
プリズムゲート社の調査により、税理士サイトのAI検索対応率が5.8%にとどまることが明らかになりました。
1,000件のサイトを対象とした調査で、AI検索に対応できていると判定されたのは58件のみという結果です。
なぜ重要か
この数字は、専門職・士業領域におけるAI検索対応の遅れを示しています。当社Iteraが実施した30ジャンル897クエリの調査では、士業ジャンルのAI Overview出現率は96.7%と、30ジャンル中で最も高い水準にありました。
つまり、この領域は「AIの回答が最も表示されやすいのに、対応している事業者はほぼいない」という状態です。ユーザーはAIに相談し、AIは何らかの情報源を参照して回答を作りますが、その参照先に個々の事務所のサイトは含まれにくい。多くの場合、比較メディアやポータルサイトが引用されることになります。
企業が取るべき対応
士業に限らず、専門性の高いサービス業では同様の構造が生じている可能性があります。まず自社の主要な相談クエリ(「〇〇 相談 費用」「〇〇 依頼 流れ」等)でAIに質問し、回答に自社が登場するか、どの媒体が引用されているかを確認してください。
対応が進んでいない領域は、裏を返せば先行者が優位を築きやすい領域でもあります。
4. Perplexityの月間クエリ数が15億回に到達
2024年8月時点の2.3億回から、約6倍の成長です(2026年半ばの推計値)。
AI検索専業サービスとして、市場のメインプレイヤーの一角を確立したことを示す数字です。
なぜ重要か
LLMOの計測対象を検討する際、どのAIエンジンを優先するかは実務上の判断が必要になります。Perplexityは引用リンクを明示する設計であり、コンテンツの引用獲得を目的とする企業にとっては、効果を確認しやすいエンジンです。
利用規模の拡大は、そのままAI検索経由の流入機会の拡大を意味します。とくにBtoBや専門情報の領域では、Perplexityの利用者は情報の出典を重視する傾向があり、引用元として選ばれる価値が高いと考えられます。
企業が取るべき対応
計測対象のAIエンジンを見直す際、自社の顧客層が使うエンジンを優先してください。すべてのエンジンを網羅するより、主戦場となる2〜3エンジンを継続的に計測するほうが、実務では意思決定につながります。
5. EU AI法の透明性義務が発効(8月2日)
EU AI法(EU AI Act)第50条の透明性義務が施行され、生成AIに関する開示要件が厳格化されました。
なぜ重要か
直接の適用対象はEU域内ですが、規制の方向性は他地域にも影響します。AI生成コンテンツの開示、AIとの対話であることの明示といった要件は、今後の国際的な標準になっていく可能性があります。
コンテンツ制作の観点では、AIを利用した記事の扱いをどう社内で整理するかという論点につながります。現時点で日本国内に同種の義務はありませんが、透明性の確保は信頼性の観点からも意味があります。
企業が取るべき対応
EU域内でサービスを展開している企業は、要件への対応状況を確認してください。それ以外の企業も、AI活用の方針(生成の範囲、人の確認プロセス、開示の要否)を社内で明文化しておくと、今後の規制変化に対応しやすくなります。
6. LLMOが広報・PRのKPIとして再定義される動き(8月7日)
PR効果測定を手がけるトドオナダ社が、LLMOを「検索順位ではなくAIの記憶を可視化する手法」として位置づけ、広報担当者向けのセミナーを発表しました。
なぜ重要か
これまでLLMOは、SEOの延長線上、つまりマーケティング部門の施策として語られることが中心でした。しかし「AIが自社をどう記憶し、どう語るか」という観点は、本質的にブランディングと広報の領域に近いものです。
実際、AIの回答に自社が登場するかどうかは、自社サイトの改修だけでは決まりません。第三者メディアでの掲載、プレスリリース、専門家としての露出といった、広報活動の蓄積が影響します。LLMOをマーケティングと広報の共通KPIとして扱う考え方は、実態に即した整理といえます。
企業が取るべき対応
社内でLLMOの担当を決める際、マーケティング部門だけに閉じない体制を検討してください。広報が持つメディアリレーションや、PR活動の成果を、AI上での言及という指標で可視化できれば、部門横断で同じ数字を追える構造になります。
7. LLMO支援サービスの地域特化が始まる(8月上旬)
仙台のICHICO社が、東北地方の企業に特化したLLMOおよびAI業務導入支援を開始しました。
なぜ重要か
これまでLLMO支援は東京の事業者が中心で、対象も比較的規模の大きい企業でした。地域特化のサービスが登場したことは、市場が全国に波及し、対象企業の裾野が広がり始めたことを示しています。
地域企業にとって、AI検索は必ずしも不利な戦場ではありません。「(地域名)で〇〇に対応できる会社」という条件を含む質問では、全国一律の情報しか持たない大手より、地域の文脈を言語化した企業のほうが照合されやすい構造があるためです。
企業が取るべき対応
地域に根ざした事業を営む企業は、サービス内容だけでなく、対応エリア・地域特有の事情への知見・地域での実績を言語化して公開してください。地域名を含む質問での露出は、地域企業のための枠として機能します。
8. 海外調査:AI引用は上位15ドメインに68%が集中
5WPR社が公開した「Trade Press AI Index 2026」によると、AIの引用の68%が上位15ドメインに集中しているという結果が示されました。
なぜ重要か
引用元の偏りは、当社の調査でも観測されています。30ジャンル897クエリの計測では、AI Overviewの引用元第1位はyoutube.comで826回、2位以下の10倍以上という極端な分布でした。
この構造が意味するのは、AIが参照する情報源は無数にあるわけではなく、限られた「常連ドメイン」が存在するということです。自社ドメインでの引用獲得が難しいジャンルでは、その常連ドメインに掲載されることが現実的な露出戦略になります。
企業が取るべき対応
自社の主要クエリでAIに質問し、回答の引用元に並ぶドメインを記録してください。そこに繰り返し登場する媒体が、自社ジャンルにおける「常連」です。競合が掲載されていて自社が載っていない媒体があれば、それが次に掲載を狙うべき先になります。
この週のまとめ:変動期こそ、計測の有無が差になる
8月第2週は、検索アルゴリズムの大規模な変動、AI製品の統合、規制の発効、そして市場の細分化が同時に進んだ週でした。
こうした変化の局面で問題になるのは、変化が起きたこと自体ではなく、変化が起きたことに気づけるかどうかです。順位だけを見ていれば、AI回答内での引用の増減は分かりません。AI回答を単発で確認しているだけでは、回答の揺れと本質的な変化を区別できません。
自社の主要クエリで、AIが何を答え、どこを引用しているか。この記録を継続的に取っている企業だけが、今回のような変動局面で「何が変わったか」を説明できます。
自社のAI検索での見え方は、LLMOチェキ(llmocheki.com)で計測できます。30ジャンル別のAI Overview出現率など、市場全体の傾向はLLMO傾向分析レポートで公開しています。
参考・出典
Google検索の順位変動:Search Engine Roundtable、Search Engine Watch、SEO Vendorの各報道
ChatGPT Atlasの廃止:Search Engine Landの報道
税理士サイト調査:株式会社プリズムゲートの公開調査
LLMOの広報指標としての定義:トドオナダ株式会社の発表
東北地方特化のLLMO支援:株式会社ICHICOの発表
AI引用の集中度:5WPR「Trade Press AI Index 2026」
当社調査:LLMO傾向分析レポート(株式会社Itera/LLMOチェキ調べ)。30ジャンル897クエリ、2026年7月25日〜8月3日計測
※本記事は2026年8月10日時点で公開されている情報に基づきます。各社の発表内容および数値の詳細は、それぞれの一次情報をご確認ください。EU AI法をはじめとする規制に関する記述は一般的な解説であり、個別の適用可否については専門家にご確認ください。